前回予告したとおり、今回はオンプレミスな学習ソリューションであるaiDAPTIV+の開発元ファイソン社からひろちゃんさんにご寄稿をいただきました~。
ソリューションの有用性だけでなく、AIビジネスを立ち上げる社内外での苦労や、ビジネスの勘所についても率直に語っていただきましたのでぜひご覧ください~😊
ファイソンについて
Phison(ファイソン) Electronics Japanのひろちゃんです。Nextorage社のしょうちゃんさんからお願いされて、今回私が書くことになりました。宜しくお願いします。
Phison(ファイソン)は、台湾の新竹市の南に本社を構えるNANDフラッシュメモリのコントローラをデザイン・販売している会社です。またNANDフラッシュメモリを外部から調達して、Phison社オリジナルのSSD、UFS(Universal Flash Storage)などのembeddedストレージ(スマートフォン向け)、SDカード、USBメモリ等を製造・販売もしている創業して25年の会社になります。
ファイソン社内のAI開発裏話
これらの自社のストレージ製品はOEM製品が大部分で、KIOXIA社さんをはじめとして、いろいろなNANDフラッシュメモリ生産会社や、コンシューマ向けメモリを販売している会社に、相手先ブランドで販売しております。「Intel入っている」のようなコマーシャルをやっておりませんが、皆さんのスマートフォンやPCの中にも知らずファイソン社製のフラッシュストレージが入っているかもしれません。
ファイソン社のAIソリューションは、少ないGPUメモリで巨大なパラメータをもつLLMを学習させることを目的とした画期的なソリューションです。ファイソン社が生成AIに参入してまだ2年ほどですが、なぜこの分野に進出することになったと思いますか?
ファイソン社は多くのコントローラチップやストレージ製品を作っており、品質管理のため厳格なマニュアルやチェック管理項目がたくさんあります。これらを人手で行うには膨大なエンジニアの人数とコストがかかり、製品の品種が年々増加する中、これらのコストが肥大化してきて問題となりました。そこで生成AIに注目しました。
どこの会社もすでに行っている、従来のDNNベース画像認識などの合理化を飛び越えて、AIにもっと品質管理の仕事をやらせることを目指しました。Chat-GPTが話題になった2022年11月の直後から台湾のファイソン本社の研究チームは生成AIに着目し、生成AIをカスタマイズして自社の品質管理ワークフローに導入することをいち早く決断しました。
しかしながらここで問題が生じました。AIを導入するメリットを金額のメトリックで会社幹部に示すことが難しかったのです。生成AIの学習効果を検証するためのハードウエアの購入申請(高価なNvidiaのGPUを使用)が却下されてしまいました。台湾企業のみならず、日本企業にもよくある問題です。
困った研究チームはここで挫けず、なんらかの方法で生成AIを学習させる方法に知恵をしぼりました。ファイソンが得意とするNANDフラッシュを使いこなせば?とのアイデアが出て、それを実現して2024年に発表したのがaiDAPVIT+(アイダプティブプラス)と呼んでいる、現在拡販中のソリューションです。
aiDAPTIV+ソリューションとは
生成AIが学習する場合、いま現時点で演算に必要なデータのみをGPUメモリに残し、残りを一時的に外部SSDにキャッシュアウトします。次のステップでキャッシュアウトしたSSDのデータが必要になった時に、再度GPUメモリに戻して演算の続きを実行します。
この管理ミドルウェアとSSDを合体したシステムを開発することにより、Nvidia製A100のような高価なGPUを多量に買う必要がなくなり、RTX4090のようなGraphic向けGPUでもLLMの学習ができることになりました。こうして、社内の合理化に社内向けに学習させたLLMが役立つことを実証しました。
AIビジネスのお話
さて、せっかく自社内での実績とメトリックが得られたので、ファイソン社のCEOはこんな良いものを世界に販売しない手はないと考えました。
ストレージソリューションを黒子で売っているファイソンの知名度は低く、さらにAIとは無関係の会社です。AIに関して知名度もない、販売チャンネルもない、経験もないの「ないない尽く」しでした。このような状況で、通常の会社経営幹部ならAIのソリューションを販売しようとは思わないでしょう。
しかしファイソンのカルチャーは、『売れないのはそう思い込んでいる会社の人間の意識の問題で、カルチャーを変えれば良いものはかならず売れる』です。CEO自ら台湾政府や関係PCベンダー、台湾の大学ネットワークなどを駆使して、実際のビジネスを導き出しました。その結果、まだ日本では認知度が低いですが、台湾では生成AI学習のソリューションである、aiDAPTIV+は広く認知されるようになり、現在も台湾の大手病院含め多数の導入のご要求が来ております。
また2024年のアメリカでのNvidia GTC Eventではファイソン社は単独でブースを出展し、新聞記者が選ぶ「The 21 Hottest Products At Nvidia GTC 2024」で21の優秀製品の中で、ファイソンのaiDAPTIV+関連製品が2個選ばれました。
最後に今回の製品に関係して、自分が感じた事があるのでご紹介して最後にします。
製品に自信が持てなければ別ですが、自分が創作してみてよいものができたと思った時、ビジネスの壁を先に考えるのではなく、知らないマーケットに飛び出す勇気が必要であるといまさらながら認識したよいビジネスクリエーションの事例でした。上杉鷹山の名言「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」を示した事例と思っています。
以上で今回のお話は終わりです。aiDAPTIV+の技術やファイソン社にご興味を持たれた方は、しょうちゃんブログ経由で私のところにご連絡下さい。
次回はしょうちゃんさんが続きを寄稿して下さります。
おたのしみに。
ひろちゃんさん、AIについて、ビジネスについて熱く語っていただきありがとうございました👏
では次回はいよいよPoCの紹介に入っていきたいと思います。
コメント・アドバイス・お問合せ、大歓迎ですので引き続きよろしくお願いします!
クラウドに出せないデータで、自社専用AIをつくる。
Nextorageでは、機密情報や社内ナレッジなど、クラウドサービスに出せないデータを活用して、自社専用AIを構築するためのオンプレミスAIソリューション 「aiDAPTIV+(アイダプティブ・プラス)」 を展開しています。
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